ハモ

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ハモ
皆様、こんにちは。


本日、ご紹介するのはハモです。


体型はウナギやアナゴに似ており、全長は1メートルほどになります。(大きく成長した個体は2メートルを超えます)

それらと大きく異なるのは、ハモが口に鋭い歯を持っていることです。

活きたハモは水から出されると激しく暴れ、何にでも噛みつこうとするために非常に危険です。


ハモという名前の由来も、「食む:はむ」「噛む:はむ」から転じたものと言われます。

別の説ではウミヘビ(方言ではハム、ハブ)に似ているからとも。

漢字では魚が豊かと書いて「」です。


ハモの主な産地は瀬戸内海沿岸です。

元々は西日本でよく使われる魚であり、特に京料理には欠かせない食材でした。

これはハモが非常に強い生命力を持った魚であり、冷蔵技術が未発達であった時代でも活きた状態のままで京都までの輸送に耐えられたからです。


ハモが関西圏以外であまり食べられてこなかった理由としては、小骨の多さもあります。

この魚にはおおよそ600本を超える小骨があり、しかもそれらは長く、細く、不規則に散らばっています。

ハモを食べるためにはこの小骨を処理する工程が必須となります。

そのために他に新鮮な魚が獲れる地域では、あえて面倒なハモを食べることはなかったのです。


しかし、京都では活けた状態から料理に使うことのできるハモは珍重され、美味しく食べる工夫が考えられました。

身に散らばった小骨をピンセットのようなもので探して取り除いていては、大変な時間がかかる上に身が崩れて食感を損ねてしまいます。

そこで身を小骨ごと細かく切り刻んで、口に含んでも気にならないようにします。

これが「骨切り」と呼ばれる作業です。

開きにした状態のハモを「1寸(約3センチ)の身に対して、皮一枚を残して骨ごと24回切っていく」というまさに職人技です。

※3センチ(30ミリ)に24の切れ目を入れていくとすると、1切に許される幅は1.3ミリ以下。


これを行うには熟練した技術が必要となり、京都ではこれが出来てようやく板前として一人前という話も。

こうして骨切りしたハモを熱湯にくぐらせると、皮一枚で繋がっているため、皮を内側にして反りかえります。

これを「湯引きハモ」「牡丹ハモ」と呼びます。

一般にハモを目にする機会があるのは、ここまでの加工がなされたものがほとんどでしょう。

※京都の祇園祭や、大阪の天神祭などではハモ料理の出店がありますので、気軽に味わうことができます。


ハモの旬の季節は夏から秋です。

「ハモは梅雨の水を飲んで育つ」という言葉があるように、梅雨からが美味しい季節です。

特に7月には需要の大きい祇園祭、天神祭と旬が重なるため、価格が高騰します。

※およそ2万匹のハモが祇園祭のために京都市場に集められます。


8月~9月頃はハモの産卵期にあたり、身も痩せて価格が下落します。

それが10月も後半になってくると、せっせとエサを食べて再び身が肥えてきます。

秋のハモは「金ハモ」「落ちハモ」と呼ばれて第2の旬にあたります。

よって、梅雨から初夏までと晩秋が美味しい時期と言えるのではないでしょうか。


湯引きハモは梅肉などと和えてあっさりとした味付けにするのが定番です。

涼しげな見た目と合わさって、夏にぴったりな料理です。

しっかりと加工がされたものなら天ぷらなどにしても美味しくいただけます。


美味しいハモを、是非ご賞味ください。


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